補助金で導入した機械を、数年後に「もう使わないから」と下取りに出した。あるいは、事業をたたむときに他社へ譲った。工場を移転するのでリースに切り替えた——そのどれもが、承認なしにやると返還の対象になり得ます。根拠は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)第22条。この記事では、どの財産が対象か・何年間縛られるか・返還額はいくらになるかを、条文と具体的な金額で整理します。補助金を受け取った後で最も事故が多いのが、この論点です。
🙋
中小企業の社長さん
先生、3年前に補助金で入れた加工機なんですが、新型に入れ替えたくて。下取りに出そうと思うんですが、問題ないですよね? もう補助金の手続きは全部終わってますし。
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ナビ先生(行政書士)
待ってください。それ、そのまま実行すると返還になる可能性が高いです。補助金で取得した財産には「処分制限期間」というものがあって、その間は承認を受けずに売ったり貸したりしてはいけないと法律で決まっているんです。
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ナビ先生
交付規程には必ず書いてあるんです。ただ、採択のときは事業計画のことで頭がいっぱいで、後ろの方のページを読んでいない——これが実情です。しかも担当者が代わると誰も知らなくなる。だから数年後に事故が起きる。順番に説明します。
⚖️根拠となる条文 — 「承認を受けないで」してはいけない5つの行為
適正化法 第22条(財産の処分の制限)「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。」
条文が挙げているのは5つの行為です。売却だけではありません。ここを読み違えている経営者が非常に多いので、1つずつ確認します。
| 条文の言葉 | 実務でよくある場面 | 見落としやすさ |
| 目的に反して使用 | 補助事業と関係ない業務に転用する/申請時と違う用途で使う | ★★★ 売っていないので気づかない |
| 譲渡 | 売却、下取り、無償譲渡、廃棄処分 | ★★ 「下取り」も譲渡にあたる |
| 交換 | 新型機との入れ替えで旧機を引き渡す | ★★★ 「買い替え」の感覚で処理してしまう |
| 貸付け | グループ会社に貸す、他社に又貸しする、遊休時間に貸し出す | ★★★ 手元にあるので処分した意識がない |
| 担保に供する | 融資を受ける際に設備を担保に入れる | ★★★ 金融機関から求められて何気なく応じてしまう |
いちばん危ないのは「貸付け」と「担保」売却と違って手元から物が消えないため、処分したという感覚がまったくありません。とくに金融機関から担保提供を求められたとき——補助金で取得した設備が含まれていないか、必ず確認してください。手続をせずに設定してしまうと、後から解消するのは容易ではありません。
📦どの財産が対象になるのか
「政令で定める財産」の中身は、適正化法施行令13条に列挙されています。
適正化法施行令 第13条(処分を制限する財産)「法第二十二条に規定する政令で定める財産は、次に掲げるものとする。
一 不動産
二 船舶、航空機、浮標、浮さん橋及び浮ドツク
三 前二号に掲げるものの従物
四 機械及び重要な器具で、各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定めるもの
五 その他各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が補助金等の交付の目的を達成するため特に必要があると認めて定めるもの」
🙋
社長さん
四号の「各省各庁の長が定めるもの」って、結局どれのことですか。
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ナビ先生
そこが実務のカギです。法律は「所管の役所が決めてください」としか書いていないので、具体的な線引きは制度ごとの交付規程や手引で決まります。中小企業向けの補助金では「取得価額が単価50万円以上(税抜)の機械・器具・備品等」を対象とする例がよく見られますが、金額基準は制度によって異なります。必ず自分の制度の手引で確認してください。
「効用の増加した財産」も入る条文は「取得し、又は効用の増加した」と書いています。つまり新しく買ったものだけでなく、補助金で大規模改修・機能追加を行った既存の建物や設備も対象になり得ます。「もともと自社の建物だから自由にできる」とは限りません。
単価の判定にも注意「1台50万円未満だから対象外」と考えて、複数台をセットで導入したケース。システムとして一体で機能するものは、まとめて1つの財産として判定されることがあります。判断に迷う場合は、処分する前に事務局へ確認してください。
📅何年間、縛られるのか — 処分制限期間の考え方
制限がいつまで続くのかは、施行令14条に定めがあります。
適正化法施行令 第14条(財産の処分の制限を適用しない場合)「法第二十二条ただし書に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 補助事業者等が法第七条第二項の規定による条件に基き補助金等の全部に相当する金額を国又は補助実施法人に納付した場合
二 補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定める期間を経過した場合」
つまり制限が外れるのは2つの場合だけです。①補助金の全部に相当する額を納付するか、②定められた期間が経過するか。そして②の期間は「当該財産の耐用年数を勘案して」定められます。実務上は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)の法定耐用年数を基準とする運用が一般的です。
参考として、同省令で定められている耐用年数の例を挙げます。自社の設備がどの区分に当たるかで、拘束される年数がまったく変わることが分かるはずです。
| 資産の区分 | 法定耐用年数 | 導入例 |
| 看板、ネオンサイン及び気球 | 3年 | 店舗の袖看板、電照サイン |
| ソフトウエア(複写して販売するための原本以外) | 5年 | 生産管理・販売管理システム |
| パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く) | 4年 | 現場用ノートPC、タブレット |
| 複写機、金銭登録機、タイムレコーダー等 | 5年 | レジ、複合機、勤怠打刻機 |
| 冷房用又は暖房用機器(器具及び備品) | 6年 | 店舗用エアコン |
| 木材又は木製品(家具を除く)製造業用設備 | 8年 | 製材・木工加工の機械 |
| 飲食店業用設備 | 8年 | 厨房機器、製氷機、冷蔵設備 |
| 食料品製造業用設備 | 10年 | 充填機、包装機、乾燥機 |
| 飲料、たばこ又は飼料製造業用設備 | 10年 | 仕込タンク、瓶詰ライン |
| 金属製品製造業用設備(その他の設備) | 10年 | プレス機、溶接ロボット |
| 宿泊業用設備 | 10年 | 客室設備、厨房・浴場設備 |
| 家具又は装備品製造業用設備 | 11年 | NCルーター、塗装ブース |
| その他のサービス業用設備 | 12年 | サービス業向けの各種設備 |
| 洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備 | 13年 | 洗濯機、乾燥機、仕上げプレス |
| 冷暖房設備(冷凍機の出力が22キロワット以下) | 13年 | 建物附属設備としての空調 |
| 自動車整備業用設備 | 15年 | リフト、テスター、エーミング機器 |
出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)別表。処分制限期間は各制度で定められるものであり、法定耐用年数と必ず一致するとは限りません。自社の制度の手引で必ず確認してください。
13年、15年という数字の重さ洗濯業の設備なら13年、自動車整備業の設備なら15年。補助金を受けた設備は、その間ずっと「勝手に処分できない財産」であり続けるということです。社長が交代し、経理担当も代わり、機械だけが残る——この時間軸を、申請の段階で意識しておく必要があります。
起点はいつか一般に、処分制限期間の起点は財産の取得日(納品・検収日)とされることが多いですが、補助事業の完了日や額の確定日を起点とする制度もあります。取得財産管理台帳を作るときに、起点と終期を必ず書き込んでおいてください。
🧮返還額はいくらになるか — 2つの代表的な計算方式
🙋
社長さん
承認をもらって売る場合、いくら返すことになるんですか。
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ナビ先生
制度によって定めが違うのですが、実務でよく見るのは2つの考え方です。①残存期間で按分する方式、②処分で得た収入に補助率を掛ける方式。いずれか高い方とされている制度もあります。金額を並べてみましょう。
前提:取得価額1,500万円の設備を、補助率1/2・補助金600万円で導入。処分制限期間10年。取得から3年経過した時点で、400万円で売却するケースを考えます。
| 方式 | 計算式 | 計算 | 納付額 |
| ① 残存期間で按分 | 補助金額 × 残存期間 ÷ 処分制限期間 | 600万円 × 7年 ÷ 10年 | 420万円 |
| ② 処分収入 × 補助率 | 売却額 × 補助率 | 400万円 × 1/2 | 200万円 |
| いずれか高い方とする場合 | max(①, ②) | 420万円 と 200万円 | 420万円 |
経過年数によって①がどう動くかを、同じ前提で並べます。早く処分するほど返還額が大きいという構造が一目で分かります。
| 経過年数 | 残存期間 | ①による納付額(補助金600万円・制限10年) | 手元に残る割合 |
| 1年 | 9年 | 540万円 | 10% |
| 2年 | 8年 | 480万円 | 20% |
| 3年 | 7年 | 420万円 | 30% |
| 5年 | 5年 | 300万円 | 50% |
| 7年 | 3年 | 180万円 | 70% |
| 9年 | 1年 | 60万円 | 90% |
| 10年経過後 | 0年 | 0円 | 100% |
「あと1年待てば0円」ということが起こる制限期間の終期を把握していれば、処分の時期を数か月ずらすだけで納付額が変わるケースがあります。上の例で9年経過時点なら60万円、10年経過後なら0円。売却の話が出たら、まず制限期間の終期を確認する——これだけで数十万円から数百万円が変わります。
計算方式は制度ごとに違います上記は実務でよく見られる考え方を整理した試算モデルであり、すべての制度に当てはまるものではありません。残存簿価を用いる方式、時価を用いる方式、承認の条件として全額納付を求める場合など、定めはさまざまです。必ず自社の制度の交付規程・手引で確認し、事務局に照会してください。
納付しても「無承認でよい」わけではない施行令14条1項1号は「補助金等の全部に相当する金額を納付した場合」を制限の適用除外としています。按分納付で済む扱いは、あくまで承認を前提とした手続の中の話です。手続の順番は「承認申請 → 承認 → 処分 → 納付」。先に売ってから相談するのでは順番が違います。
🚨うっかり処分してしまう典型8パターン
① 新型への入れ替えで旧機を下取りに出す最も多いパターン。下取りは「譲渡」または「交換」にあたります。設備更新の商談が動き出したら、その時点で制限期間を確認してください。
② 故障・老朽化で廃棄する「壊れて捨てただけ」でも、財産が無くなる以上は報告・手続が必要とされるのが通例です。廃棄する前に事務局へ連絡し、指示された書類(廃棄証明、写真など)を残してください。
③ 遊んでいる時間に他社へ貸す稼働率を上げようという善意の判断ですが、条文が明記する「貸し付け」にあたります。グループ会社への貸与も同様です。
④ 融資の担保に入れる条文の「担保に供する」そのものです。金融機関は補助金の履歴まで確認しないことがあるため、自社側で気づく必要があります。
⑤ 工場移転で設置場所が変わる処分の5類型には直接あたらない場合でも、交付申請で届け出た設置場所からの移動は、事前の承認・届出を要するのが通例です。移設のスケジュールを組む前に確認を。
⑥ 事業譲渡・会社分割・M&Aで設備が別法人へ移る補助事業者が変わることになるため、単なる財産処分にとどまらない重い手続が必要になり得ます。デューデリジェンスの段階で必ず洗い出してください。買い手側にとっても簿外のリスクです。
⑦ 目的外の用途に転用する「補助事業のための機械」を、まったく別の受注に専用で使うようになった場合など。条文の「補助金等の交付の目的に反して使用し」に該当し得ます。
⑧ 廃業・法人の解散設備の帰趨と補助金の取扱いを整理しないまま手続を進めると、後になって問題が表面化します。廃業を検討し始めた時点で、補助金の履歴を棚卸ししてください。
共通する対策はひとつ取得財産管理台帳を作り、処分制限期間の終期を書いておくこと。品名・型番・製造番号・取得日・取得価額・補助金額・設置場所・制限期間の終期。この1枚があれば、8つのパターンのほとんどは事前に気づけます。台帳がないから事故になるのです。
📝承認を受ける手続の流れ
01
制限期間の終期を確認 取得財産管理台帳、交付決定通知書、手引で確認。まず期間内かどうか
02
事務局へ事前相談 処分の理由・時期・方法・見込額を伝える。売買契約を結ぶ前に
03
財産処分承認申請書を提出 様式は制度ごと。理由書、写真、見積・査定書、台帳の写しなどを添付
04
審査・承認 承認の条件として納付額が示されることがある。時間がかかる前提で計画する
05
処分の実行 承認された内容・条件のとおりに実行する。条件を外れると承認の意味がなくなる
06
納付・報告 指示に従って納付し、完了を報告。証憑を保存する
「先に売ってしまった」場合はどうするか隠すのが最悪です。無承認処分が発覚した場合、
交付決定の取消し(適正化法17条1項)とそれに伴う返還命令(18条1項)に至れば、
年10.95%の加算金(19条1項)が受領日から計算されます。気づいた時点で速やかに事務局へ申し出てください。加算金の実額は
補助金の確定検査2026で試算表にまとめています。
🧭申請の段階で考えておくべきこと
🙋
社長さん
これ、申請する前に知っておきたかったです。
👨🏫
ナビ先生
まさにそこです。「補助金をもらう」という判断は、「その設備を10年前後、自由に動かせなくする」という判断でもある。技術の陳腐化が早い分野では、これが意外に重い。申請前に3つだけ考えてください。
| 検討事項 | 問い | 判断の目安 |
| ① 陳腐化の速さ | その設備は、制限期間の間ずっと現役でいられるか | 技術の入れ替わりが激しい分野では、補助率と拘束年数を天秤にかける |
| ② 事業の継続性 | その事業を、制限期間を通じて続ける見込みがあるか | 数年内の撤退・売却・承継の可能性があるなら慎重に |
| ③ 資金調達との関係 | その設備を担保に入れる予定はないか | 担保提供の予定があるなら、金融機関と事前に整理しておく |
それでも補助金を使う価値は大きい誤解のないように付け加えると、処分制限があるからといって補助金を避ける必要はまったくありません。1,500万円の設備に600万円の補助が出るなら、その効果は絶大です。大事なのは「知らずに事故を起こさない」こと。台帳を作り、終期を管理し、動かす前に相談する。それだけで、このリスクはほぼ消えます。
📒取得財産管理台帳のつくり方
🙋
社長さん
台帳、台帳と言われますが、具体的に何を書けばいいんですか。エクセルでいいんですよね。
👨🏫
ナビ先生
エクセル1枚で十分です。大事なのは「数年後に、その設備を知らない人が見ても判断できる」こと。だから終期の日付を必ず入れる。「10年間」ではなく「2036年3月14日まで」と書いてください。年数だと、見た人がまた計算しなければなりません。
| 列 | 書く内容 | なぜ必要か |
| ① 品名・型番 | 請求書と同じ表記で | 現地調査で書類と現物を突き合わせる |
| ② 製造番号 | 機体に刻印されている番号 | 同型機が複数あるとき、これだけが識別子になる |
| ③ 制度名・交付決定番号 | どの補助金で買ったか | 照会先が分かる。担当者交代後の生命線 |
| ④ 取得日 | 納品・検収日 | 処分制限期間の起点になることが多い |
| ⑤ 取得価額(税抜) | 補助対象経費として計上した額 | 金額基準の判定と、返還額の計算に使う |
| ⑥ 補助金額 | その財産に対応する補助額 | 按分方式の返還額はこれが基礎になる |
| ⑦ 処分制限期間 | 年数 | 制度の定めを転記する |
| ⑧ 制限期間の終期 | 西暦の日付で | この1列があるかどうかで事故が決まる |
| ⑨ 設置場所 | 事業所名・建屋・階 | 移設時に届出が要ることに気づける |
| ⑩ 備考 | 担保設定の有無、貸与の有無、修繕履歴 | 担保・貸付けは無自覚に起きる |
実際に埋めると、次のようになります。この形にしておけば、設備更新の商談が来た瞬間に「あと何年か」が即答できます。
| 品名・型番 | 取得日 | 取得価額 | 補助金額 | 制限期間 | 終期 | 設置場所 |
| CNC旋盤 XY-450 | 2026年3月14日 | 1,500万円 | 600万円 | 10年 | 2036年3月13日 | 本社工場 1F 第2ライン |
| 三次元測定機 CM-200 | 2026年3月28日 | 950万円 | 380万円 | 10年 | 2036年3月27日 | 本社工場 2F 検査室 |
| 生産管理システム | 2026年4月1日 | 380万円 | 152万円 | 5年 | 2031年3月31日 | 本社事務所サーバー室 |
| 集塵機 DC-30 | 2026年4月10日 | 180万円 | 72万円 | 10年 | 2036年4月9日 | 本社工場 1F 加工室 |
置き場所は「経理と現場の両方が見られるところ」経理のパソコンの中だけにあると、現場が設備を動かすときに誰も見ません。逆に現場のファイルだけだと、M&Aや融資の場面で出てきません。共有フォルダに置き、年1回、決算のタイミングで棚卸しする——このリズムが最も現実的です。
終期の1年前にアラートを表計算ソフトの条件付き書式で、終期まで1年を切った行に色を付けるだけでも十分機能します。「あと1年待てば納付0円」という判断ができるようになるのは、この色が付いているからです。
❓よくある質問
補助金で買ったパソコンも対象になりますか?
制度が定める金額基準によります。中小企業向けの補助金では、単価50万円以上(税抜)の機械・器具・備品等を処分制限財産とする例がよく見られますが、基準額は制度ごとに異なります。なお、パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く)の法定耐用年数は4年とされています。自社の制度の手引で対象範囲と金額基準を確認してください。
故障して使えなくなった設備を捨てる場合も手続が必要ですか?
処分制限期間内であれば、廃棄も財産の処分にあたるものとして、事前の相談・報告や承認申請を求められるのが通例です。黙って廃棄すると、後の検査や報告の際に説明できなくなります。廃棄業者のマニフェストや廃棄前後の写真など、状況を示す資料を残したうえで事務局に相談してください。
制限期間が過ぎれば、自由に売っていいのですか?
施行令14条1項2号は、定められた期間を経過した場合を制限の適用除外としています。したがって期間経過後は原則として自由に処分できますが、事業化状況報告など別の義務が残っている場合があります。また、制限期間の起点と終期の解釈は制度により異なるため、期間が満了しているかどうかは自己判断せず、台帳と交付決定通知書で確認してください。
グループ会社に使わせるのも「貸付け」になりますか?
条文は「貸し付け」を明記しており、相手が関係会社であっても、補助事業者以外に使用させる場合は該当し得ます。実際の判断は使用の実態と制度の定めによりますので、実行前に事務局へ照会してください。無償か有償かにかかわらず、確認しておくのが安全です。
会社を譲渡(M&A)する場合はどうなりますか?
株式譲渡か事業譲渡か、会社分割かによって取扱いが変わります。補助事業を実施する主体が変わる場合には、財産処分にとどまらない承認手続が必要になり得ます。買収側にとっては、把握されていない返還債務が潜むリスクでもあるため、デューデリジェンスの項目に「補助金の受給履歴と処分制限財産の有無」を必ず入れてください。
災害で滅失した場合も返還を求められますか?
災害等による滅失・毀損は、通常の売却とは別に取り扱われることがあります。適正化法19条3項には、やむを得ない事情があると認めるときは加算金・延滞金の全部または一部を免除できるとの規定もあります。ただし、いずれも「認めるとき」という裁量の規定です。被災の事実を示す資料(罹災証明、写真、保険の記録)を整えたうえで、速やかに事務局へ報告してください。
処分制限期間は、どこを見れば分かりますか?
交付決定通知書、交付規程、実績報告時に提出する取得財産管理明細表(様式名は制度により異なります)などに記載されているのが一般的です。手元の書類で確認できない場合は、事務局に問い合わせて財産ごとの制限期間と起点を書面で確認しておくことをおすすめします。数年後に必要になる情報なので、台帳に転記して保存してください。
※本記事は2026年8月時点で確認できる法令の条文にもとづく一般的な整理です。条文の引用は e-Gov 法令検索で公開されている内容によります。処分制限財産の範囲・金額基準・制限期間・返還額の計算方法は、制度ごとの交付規程および所管庁の運用によって異なります。処分を検討する際は、必ず事前に事務局へご確認ください。