「代行は違法」は正しい?間違い?
はじめに — 「代行は違法」は正しい?間違い?
SNSやブログで「補助金の代行は違法」という情報が飛び交っています。これは半分正しく、半分誤解を生んでいます。
正確には:
- 「代行申請」ルール違反で不採択になる可能性 → 小規模持続化補助金の場合
- 「行政書士法違反」本当に違法 → 無資格者による有償代行の場合
さらに2026年、行政書士法の改正により、補助金申請支援の規制がさらに厳格化される方向に進んでいます。
本記事では、この複雑な論点を誤解なく整理します。
1. 小規模事業者持続化補助金の「代行NG」ルール
中小企業庁の明確な方針
中小企業庁は小規模事業者持続化補助金について、以下を明確に定めています:
「小規模事業者等が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援する」
つまり、この補助金は事業者本人の経営計画作成が必須。これが採択の前提条件です。
「代行が発覚したら」どうなるか
- 書類作成の代行が確認された場合、不採択とする可能性がある
- 既に採択されていても、取り消し・返還の対象となる場合がある
何が「代行」で、何が「支援」か
| ケース | 判定 |
|---|---|
| 業者が経営計画をゼロから書く | ❌ 代行(NG) |
| 業者が「丸投げOK」と謳って受託 | ❌ 代行(NG) |
| 事業者の話を聞き、業者が原案を書く | ⚠️ 判定グレー |
| 事業者が書いた計画を業者が添削する | ✅ 支援(OK) |
| 事業者に書き方のアドバイスをする | ✅ 支援(OK) |
| フォーマットや参考資料を提供する | ✅ 支援(OK) |
つまり、「事業者が主体的に書く」という実態があれば支援はOKです。
2. 行政書士法の観点:補助金申請代行は誰ができるのか
行政書士の独占業務
行政書士法では、「他人の依頼を受けて、報酬を得て書類を作成すること」が行政書士の独占業務と定められています(行政書士法第19条)。
つまり:
- 無資格者が報酬を受け取って申請書類を作成する → 違法(行政書士法違反)
- 行政書士が報酬を受けて作成する → 合法
- 認定経営革新等支援機関の一定範囲の支援 → 合法
違反した場合の罰則
行政書士法第21条に基づき、以下の罰則があります:
- 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
これは無資格コンサルが補助金申請を代行して料金を取った場合の罰則。決して軽くありません。
3. 2026年 行政書士法改正 — 何が変わるのか
改正の背景
補助金申請支援市場の拡大に伴い、以下の問題が顕在化:
- 無資格コンサルによる高額な成功報酬(25%〜30%)
- 計画書の質の低い業者による不採択の続出
- 事業者と業者のトラブル急増
- 書類作成の責任所在が不明確
これを受けて国は「補助金申請支援業務の有資格者限定化」に舵を切っています。
改正の主な方向性(2026年段階)
- 補助金申請の書類作成は、原則として以下の有資格者に限定される方向:
- 行政書士
- 税理士(一部範囲)
- 中小企業診断士(一部範囲)
- 認定経営革新等支援機関(機関としての認定必要)
- 無資格コンサル会社は:
- 「紹介業」「情報提供」など、書類作成以外の業務に限定される可能性
- または認定支援機関と連携した場合のみ関与可能
事業者側への影響
- ✅ メリット: 質の低い業者が淘汰され、選びやすくなる
- ⚠️ 注意点: 現在依頼中の業者が無資格なら、契約見直しの検討を
- ⚠️ 注意点: 過去に代行してもらった申請で「書類作成は事業者自身」と虚偽報告している場合、問題になる可能性
4. “伴走支援”という正しい形態
伴走支援とは
「代行」ではなく、事業者が主体性を保ちながら、専門家が横に並走する形の支援です。
伴走支援で提供されるサービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| ヒアリング | 事業者の強み・課題・目標を深掘り |
| 構成設計 | 経営計画書の骨組みを一緒に考える |
| 執筆サポート | 事業者が書く → 専門家が添削 |
| 数字の整理 | 売上推移等の定量情報をわかりやすく整理 |
| 加点項目提案 | 該当する加点項目を事業者に提示 |
| 相見積もり助言 | 透明性確保のための見積もり取得アドバイス |
| スケジュール管理 | 申請締切から逆算してタスク整理 |
伴走支援のメリット
- 法令遵守 — ルール通りなので不採択リスクなし
- 事業者の経営力向上 — 自分で書くプロセスで学べる
- 採択後の実行力アップ — 自分で書いた計画は実行しやすい
- 2年目以降の再申請も自力で可能 — 業者依存から脱却
5. 支援業者を選ぶ5つのチェックポイント
チェック①:資格を明記しているか
行政書士登録番号、税理士登録番号、中小企業診断士登録番号など、具体的な資格番号を公開している業者を選びましょう。
チェック②:「代行」ではなく「伴走」「支援」を謳っているか
「丸投げOK」「書類作成代行」などと謳う業者は、ルール違反または法令違反の可能性あり。
チェック③:料金体系が透明か
- 着手金、成功報酬、追加料金の有無を契約前に明示
- 「交付決定額の20%前後」など曖昧な表現は避ける業者が望ましい
チェック④:採択率を開示しているか
採択率を公開している業者は、自分の仕事に自信があると判断できます。
チェック⑤:不採択時の対応
- 不採択時に着手金返金
- または完全成功報酬型で不採択時は無料
→ こういう業者はリスクを共有する気概がある証拠。
6. よくある誤解と正しい理解
誤解①:「丸投げOK」という業者はいくつもある
正しい理解: そういう業者は多くが法令違反または制度違反。2026年改正後はさらに厳しく取り締まられる方向。
誤解②:認定支援機関なら何でも代行できる
正しい理解: 認定支援機関にも「書類作成」の範囲に制限がある。アドバイス中心で、代行ではない。
誤解③:行政書士なら代行も問題ない
正しい理解: 行政書士は行政書士法上の書類作成は合法だが、補助金の制度ルールで「事業者自身の計画策定」が求められる場合は、そのルールも守る必要がある。
誤解④:過去の代行は問題にならない
正しい理解: 実績報告や後の検査で発覚すれば、補助金返還・契約取消のリスクあり。
まとめ
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 小規模持続化の「代行NG」 | ルール上、事業者自身の経営計画策定が必要 |
| 行政書士法違反 | 無資格の有償代行は違法(罰則あり) |
| 2026年法改正 | 補助金申請支援が有資格者限定化の方向 |
| 正しい形 | “伴走支援”(事業者主導+専門家サポート) |
| 業者選びの基準 | 資格明記・伴走型・料金透明・不採択無料 |
補助金を正しく、確実に活用するために、信頼できる有資格者との伴走を選んでください。